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第15回 From Singapore vol.12019/11/12

みなさま、はじめまして。ガウディです。

ラッフルズ上陸から200周年を迎えたシンガポールからお便りします。
私は、日系航空会社に16年勤務した後、先の決まっていない不安に怖気づきながらも、今だという感覚だけを信じて早期退職制度を利用して新しい一歩を踏み出しました。
学びを深めたり、友人の誘いで新たな分野での仕事をしたり、しばらくは緩やかに過ごしました。

そして、2013年、突然その時が訪れます。
その時、不安や迷いが一切なかったことが不思議なわけですが、卒業以来一度も会っていなかった高校時代のクラスメートと同窓会で再開したことをきっかけに結婚する運び(正しくは再婚です)と相成りまして、シンガポールに引っ越してきました。
現在、初めての子育て真っ最中です。
家族

とはいえ、娘が幼稚園に入り、自由になる時間ができたので、昨年からミュージアム日本語ガイドグループでボランティアガイドとして博物館を訪れる日本の皆さんにシンガポールの歴史やアートなどをご紹介しています。

現役時代に何度も訪れたシンガポールでしたが、同僚の後について行くか、タクシーで移動し、自分がシンガポールの中のどこにいるのかはっきりとわからないままに過ごしました。
エアラインクルーディスカウントをフル活用し、物価がこんなに高いことも知らずに過ごしました。

厳しいルールがあって、きれいで安全で、これといったもののない国だと思っていました。ですが、その歴史を勉強してみるととても興味深い国です。

シンガポール国立博物館

シンガポールは、マレー半島の南の端に位置する小さな小さな島です。
地図上に赤い点でシンガポールの位置を示すとき、その赤い点に国が丸ごとすっぽり隠れてしまうほど小さいことから、シンガポールにはレッドドットという愛称があります。

その広さは、東京23区や琵琶湖などにたとえられてきましたが、埋め立てを繰り返して少しずつ広がり、現在は鹿児島県にある鶏飯の美味しい奄美大島と同じくらいの大きさです。

イギリス東インド会社のラッフルズがアジアの貿易拠点となる港を探して上陸した200年前、この地は、虎、猫くらいの大きさのネズミ、ムカデやワニなど危険な野生動物が生息するジャングルに覆われたぬかるんだ土地でした。

地上に住む人はたった150人。(オランラウトという海上生活者を含めると住人は1,000人くらいだったと記録されています。)
そんな場所がどのようにして世界の中心的役割を果たす国へと発展してきたんでしょうか。
そして、ここに、残念ながら日本ではあまり知られていない日本が深く関わる暗く重い歴史があることがわかったら、何を思うでしょうか。

勉強したことを自分の言葉にしてみなさんにお伝えする中で、自分自身を見つめる作業もしているように思います。

毎回、ガイド当番の前に原稿を仕上げ直す私に、旦那さんは『ガウディのようだね、今世紀中に完成するのかな』と粋なことを言います。
結婚してよかったです。

日本が誇るウルトラテクノロジスト集団チームラボがシンガポール建国50周年を記念して制作した『Story of the Forest』@シンガポール国立博物館