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第39回 From Germany vol.32021/05/24

グーテンターグ!こんにちは。
新緑の溢れるドイツからルチナがお届けします。
3回にわたってお届けしているリレーコラムもいよいよ最終回です。

ただいまライン川沿いは春真っ盛り!絨毯のように一面に広がる菜の花畑


パンデミックの影響でフライトが激減したこの1年、改めて客室乗務員という仕事は、本当に体が資本の仕事だということを実感しています。フライトへ行くのは数か月おきという生活が日常になった今、同僚たちはフライトが入らないことはとても残念だけれど、ここ最近めっきり体調がよく身体が快適だということを皮肉っぽく話してくれます。フライトしていないとよく眠れるようになった、風邪をひかなくなったなど、それぞれいろいろな変化を感じているようです。私自身もロングフライト後の何日も続くいやな倦怠感から解放され、疲れ知らずな毎日を過ごしています。常に時差と気圧の影響を強く受け、1歩機内に足を踏み入れると1秒たりとも心の休まる暇がない。我ながらタフな仕事だなと思うのですが、そんな仕事を長く続けられてきたのは、オフや休暇をうまく活用して心身ともにしっかりリフレッシュすることを心がけてきたからだと思うのです。

貸別荘を借りてユングフラウ地方で同期と過ごしたハイキング休暇


労働者の権利が守られているドイツでは一般的に週5で働く人たちには年間24日の有給が法律で義務付けられていて、企業によっては30日ほどの有給があるところもあります。土日の関係ないシフト勤務で働く私たち客室乗務員は、年間42日(6週間)の休暇が与えられていて、その消化率はほぼ100パーセントです。ちなみにドイツでは、休暇中に病気やけがをするとそれは病欠となります。取得していた有給休暇の日数から差し引かれず、改めてまた休暇を取得することができます。そこには休暇と療養は別という認識があるからです。
有給休暇に加え、教育休暇という制度がある州もあります。何かを学びたいときに、提携している教育機関で講座やセミナーに参加する際に取得できる休暇で、ドイツ国内、国外どちらで学ぶ場合にも使えます。この休暇制度を利用して日本に語学を学びに行った同僚やスペインに語学留学した同期がいたりします。

料理やイタリア語を学びにプチ留学しちゃうほど大好きな街フィレンツェ



弊社では6週間の有給休暇を、前年に翌年分の希望を予め申請し、うまく希望が通ればまとめて取ることも、何回かに分けて取ることもできます。子供のいる同僚はスクールホリデーに合わせてリクエストをしたり、私たちのような外国人は母国の祝祭日に合わせてリクエストをしたりとそれぞれです。毎年休暇申請の時期になると必死にカレンダーとにらめっこしています。
旅行や日本帰国のためにとる休暇以外に、最近は自分の心を喜ばせるためにこの休暇を利用しています。オフと休暇をうまく組み合わせると1か月以上まとめて休むことができるので、インドでヨガのティーチャートレーニングに参加したり、スリランカでアーユルヴェーダのセラピストコースを受講したり、イタリアにお料理留学したりと好きなことを極める時間にあてています。


ガンジス川をバックに一緒にヨガを勉強した仲間たちと


私のまわりには、仕事以外に趣味や資格などライフワークと呼べる世界を持っている同僚たちがたくさんいます。客室乗務員である前に、まず一人の人として自分の心身をとても大切に扱っている彼らはとても魅力的で私もそうありたいと思っています。働くときは働き、休む時はしっかり休む、オンとオフの切り替えが上手なドイツ人と働く中で私も知らず知らずのうちに影響を受けてきたのだと思います。
私のヨーロッパでの暮らしも長くなり、休暇イコール休むという思考になりました。新卒でヨーロッパに来た当初、ゆっくりすることに慣れていなかった私は、この有難い休暇制度を持て余していた時期があったことをこのコラムを書きながら思い出しました。笑

大阪ステイ中、カメラマンでもある同僚をフォトジェニックな場所へ案内したときにとってもらったもの


最後までお読みくださった会員の皆様、どうもありがとうございました。
限られ空間と物でベストなパフォーマンスを考えることができるのが客室乗務員を経験した者の強みだと思っています。先の見えないこの状況下でもそんな私たちだからこそ、今できる最大限のことを楽しんでいく力があると私は思っています。