Cure Aile ホーム > たまてばCOlumn > 今月の聞かせて!お姉様 > 今月の聞かせて!お姉様 No.004

第4回 奥田 美穂さん2017/09/05

充実したエアライン時代

入社して4年目に、CAの仕事をしながら大学法学部3年に編入し、約2年半で卒業のための単位を取得しました。
卒業後、ロースクール進学への道も進められたのですが、CAとしてもちょうど楽しく充実していた頃でしたので、
CAの仕事に専念することにしました。
そして入社から12年。たびたび発症したじんましんや通勤途中の不慮の事故、
先を考えると体力的にも転職の時期としても不安を感じ、
会社の経営の流れが変わったことも後押しとなり退職を決意することに。

「来年辞めます」との宣言をしたのは退職10か月前。
このおかげで、退職まで伸びやかな気持ちで仕事に向き合うことができたそうです。
「そのうち辞める人」としての扱いなく接してくれた先輩・後輩に恵まれたこと、
そして、退職へ向けて自分ができること、気持ちの整理、培ってきた経験を後輩たちに引き継ぐことにも専念ができた期間になり、
悔いなく退職ができました。

初めての転職

退職後の転職は「法律」にたずさわる仕事ができればいいな、という漠然としたもの。
まずはPCスキルを身につけるため職業安定所でのPC研修に3か月毎日通いました。
基礎から論理的に教えてくれたのでここでの勉強は今でも大変役に立っているそうです。
そして司法書士の試験を勉強してみたり今後の方向性を探っているところに、
知人の紹介で法律事務所に契約社員として入ることができました。

初めての事務経験。
PCへの苦手意識はなくなりましたが、社会人経験が13年あっても、オフィスでは「当たり前」のことがわからない、
言わば新卒の社員と同レベルな自分に愕然としました。
初歩的な業務、例えばファイリングの指示を受けてもピンとこないくらい・・・
想像もつかなかった初めての職場で「私はやはりCAとしてしか通用しないのでは?」と一瞬ひるんだそうです。

当たり前のことは教えてくれない、聞くのも忍びない、そんな環境でも戸惑ってばかりいられません。
周りの見よう見まねで形にしていくことで、1か月もするとその空気に慣れてきました。
また「法律」の知識があっても、「法律事務所」での実務となると話の内容すらわからないこともありましたが、
それも3,4か月もするとようやく色々なことが見えてくるようになりました。
持ち前の勘の良さや先を読んだ対応などが認められ、少しずつ責任がある仕事も与えられました。
1年弱でしたがオフィス業務の経験を積むことができた貴重な場所となり、
もっと自分のスキルが活かせる「次への転職」が考えられるようになったのです。

様々な経験、そして学び

公募で見つけた法律事務所に、弁護士秘書として正社員での入社が決まりました。
前職場よりも少し規模が大きくなり、秘書職としてCAの経験を活かして仕事の幅を広げたいと希望した職場でした。
1年ほどしたころ、勉強をして得た法律の知識も役に立てたいという思いが受け入れられ、
パラリーガルとしての仕事も担当しました。
ガッツと向上心をもって着実に仕事をこなし、経験を積んでいましたが、人事評価制度がないせいかとてもマイペースな空気が流れている職場。
ふと、周りの方との温度差を感じるようになりました。

「今思うと肩に力が入りすぎた期間だった」と奥田さん。
仕事に対する姿勢の基礎は、新卒で入社し13年培ったCA時代のものです。
一つのフライトの中で「いい空間づくり」を提供するために、チームワークをもって集中して一生懸命取り組みます。
CAの世界は、ホスピタリティは仕事のためだけではなく、自然にふるまえる方々が多かったので、
新しい職場ではそのギャップをヒシヒシと感じました。
人間関係は良好でしたが、その環境にだんだんストレスを感じるようになり、
同時に仕事に対する達成感、責任感を求めて、転職を考えはじめました。
 
知識を行かせる場所へ!専門分野への挑戦

次は「秘書」ではなく、事業会社で管理部門の「総務・法務」の職務に挑戦しました。
秘書はCAからの転職としてその経験値を買われるところがありますが、法務となるとそうはいきません。
企業での法務経験は無かった奥田さんですが、
「管理部門にもコミュニケーション力が必要」という採用担当者との出会いにより開けた道でした。

外食産業の企業でしたが、ここでもまた違う価値観の世界を経験したそうです。
業界問わず、企業によってそれぞれにカラーがあり、その人に合う合わないは当然でてきますが、
奥田さん曰く「最初はすごく浮いてしまっていた」とのこと。

CAは世間一般的に『憧れの職業』。
元CAが入社した、となると良くも悪くも注目を浴びることも致し方ありません。正直、嫌がらせのようなこともあり嫌な思いもした、とのこと。
「やめようと思わなかったか?」の質問に「そんな中でも信頼できる上司がいたので、どうしてもその人に仕事で認められたかった」との答え。
IPOに向けてのプロジェクトメンバーでもあったので責任を全うし、「おまえに任せてよかった、と言われたかったのです」。


コミュニケーション力

奥田さんの芯の強さ、ぶれない気持ち、得意のコミュニケーション力から、徐々に周りがその人柄を受け入れ、実力が認められ、
交渉事や部外者とのコミュニケーションが必要とされる業務はほとんど任されるほどになりました。
そんな中でも他部署への管理・指導の対応では、なかなかうまく真意を伝えられず挫けることもあり、
「やっぱり秘書の方があっているかな」と道に迷うこともあったそうです。

法務の仕事は、企業として法律、コンプライアンスなどが順守されているか、のチェックだけではなく、
何かリスクを発見したら営業担当者にリスクを指摘したり、「NO」と言わなければならないときもあります。
もともと人を喜ばせることが好きなので、ドライにならなければいけない場面で感情的になってしまうこともまだあるけれども、
それはまだ自分の仕事に自信がないからだ、と。

「管理部の仕事は、現場がアクセルを踏んで一生懸命走っているところに、ブレーキをかける仕事でもあります。
CA時代は現場の立場でしたから、現場の気持ちもよくわかります。
現場も管理部も、会社の利益のために貢献したいという目的は同じなので、
現場も経験した者として、現場の方の気持ちを汲んだうえでブレーキをかけられるようになりたい」

この秋からより法務に特化した新たなる職場への転職が決まりました。
ドライに淡々と処理するだけではなく、みんなが気持ちよく業務を進められるよう、
さらに奥田さんらしさを活かせるキャリアを作り上げていくことでしょう。


人とのコミュニケーションはどのような仕事にも発生します。
1日中パソコンに向かうデスクワークだとしても、人と全く関わらない仕事というのはありません。
コミュニケーション力がある方は仕事がスムーズに運びやすく、
会社への貢献度が高いため、重要視されるのです。

また、裏方、と思われがちな「管理部門」ですが、社内外とのコミュニケーションを積極的に行なっていくことで、
単なる「裏方」ではなく、ビジネスを推進する立場として重宝され、
より活躍できる部署でもあります。

器用なことが裏目となり、何でもこなせるが故になかなか道が定まらない元CAも多いようですが、
この先のキャリアプランを考えるに辺り、今回の奥田さんの経験談はヒントになるのではないでしょうか。。。




奥田さんにQuestion♪
転職して、CAだったから良かったこと,,,苦労したこと,,,
CAだから良かったこと
・マナーを始め、立居振る舞いは褒められます。
 これは社会人として本当に強みです。
・会話のツールになります!(CAに興味を持っている方が多いので)

CAだから苦労したこと
・前述のとおり、興味を持っている方も多いのですが、いいイメージを持たれている方ばかりではないので、
 勝手なイメージ、マイナスのイメージを持たれることもあります。注目される仕事だから仕方ありませんが。
エアラインを辞めて転職を考えている方へのアドバイス
これまでを振り返ってもCAは特殊な職業でした。そこで学んだことは多く、
そして辞めてからもとても活かせています。自信を持ってください。
CAは仕事への意識が高く、一生懸命になりすぎる方も多いですが、仕事への価値観は業種、業界によって様々です。
肩の力を抜いて、一旦その状況を受け入れる、流されてみる、相手に求めすぎないことも必要です。


☆奥田さんへのご質問などございましたら、こちらへご記入ください。