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第5回 齋藤 優子さん2017/10/02

着つけとの出会い

齋藤さんは5年間、国内大手航空会社でCAとして活躍され、結婚を機に退職されました。
嫁ぐ際にご出身である佐賀の実家から、着物をめいっぱい詰めた和ダンスを嫁入り道具の一つとしてもたされました。
「それまで着物を自分で着ることはなく、これ、どうしよう…って。」
そんな時、結婚式に自分で着つけたという着物姿で参列してくれた同期の姿に魅了され、「着物って素敵!」と開眼。
そこから齋藤さんの着物とのお付き合いが始まりました。


学ぶ立場から教える立場へ

まずは着付け教室に通うことから始め、同時に東京地裁での受付の仕事も始めました。
3年間勤務しましたが、大変落ち着いた、また楽しい職場で残業もなく、
家事とスクールに通いながらの仕事としてはピッタリの職場でした。
着付け教室も熱心に通い、看板と上級師範の免許も取得できた頃に妊娠。区切りよく退職しました。

着付け、と一言で言ってもその用途や年齢に合わせて着付け方を変えなければなりません。
結婚式に列席される方々はもちろん、主役となる花嫁の着付けも担当。
その他、成人式、卒業式、七五三、喪服や浴衣、イベントやパーティーなど様々なロケーションに対応できること、
また人それぞれの体型にあった着付けをすることを求められます。
しばらくは家事・育児に専念しながらも、単発で着付けの仕事をして様々な場で沢山の経験を積んでいきました。
まだ着付けを仕事として続けるか全く決めてもいない頃でしたが、ちょうど一軒家を新築中でもあり、
「もしかしたら将来的に着付けの教室を家でやる時がくるかもしれない」と和室の部屋を作っていたそうです。

お子様が幼稚園に通うようになり、「着物が趣味です」という自己紹介をしたところ、
「着付けを教えてもらいたい」という方がいたのをきっかけに「教えること」がスタートしました。
幼稚園に隣接する集会所の和室を借りての着付け教室。
そのプログラムは月2回全12回の半年のコースとし、幼稚園に子供を預けるお母様を中心に気軽に始めた教室でしたが、
その評判が口コミで広がり、細く長く、現在は場所が自宅に変わり、ライフワークの一つとなっています。
この時、お金をいただくことによってその「責任感」が目覚め、「仕事」としての自覚も生まれました。

自信をつけるための努力

着付けと同時に、着付けにあう髪型とメイクも我流で仕上げるまでになりました。
美容に関しては元々、興味がある分野だったのでそれなりに仕上がってはいましたが、
さらに自信をつけるためにカラーアドバイスの個人レッスンに通った時期もあったそうです。
ちょうどその頃、着付教室の受講生の中にコスメ販売会社の社長をしている方がいて、さらに道を開くきっかけとなりました。
コスメ販売代理店として会員になると、メイクやカラー、マッサージなどの様々な講座が受けられ、知識と技術を得られるというシステム。

「販売に興味は無かったのですが、綺麗になることやすることへの学びの場が必要だと思っていました」。

次第にメイクや色の選び方はもちろん、顔の形、肌の状態などから判断して専門的に仕上げるまでになり、
プロフェッショナルな感性が磨かれていったそうです。
齋藤さんの努力は、着付けだけにとどまらず、トータルビューティーやコーディネートができる自信へとつながりました。

また、自分で着付けができても、なかなか着物を着ていく場所がない、との生徒さんからの声を拾い、
自らパーティーを企画し、ホテルの会場で半年に1度、着物パーティーをするようになりました。
夏は浴衣パーティー、時には男女の出会いの場としての企画をしたり、非日常の場所として皆様に喜んでもらうことも楽しみになったと同時に、
異業種交流会やパーティーに自ら参加し、人脈作りが楽しい時期でもあったそうです。

ある交流会で「着付け教室をしています」と話をしたところ、
とびきりおしゃれな初老の男性に「うちでもやりなさいよ」と声をかけてもらいました。
その方は六本木にサロンをもつ業界では著名な方で、
サロンの休日に場所を借りて、OLターゲットの着付け教室をすることができました。
自らネットワークを広げることにより、自宅以外の、都心での教室を開くきっかけが生まれ、
生徒の年齢層にも幅が広がり、六本木の次に銀座の呉服屋からも声がかかりました。

もっともっと広がる!

「銀座」という土地柄、箔がつき、教室運営だけでなく、有名ファッション誌・テレビ番組で取り上げてもらう機会もあり、
少しずつ仕事に広がりを見せる齋藤さん。経産省や小学校でも着物の歴史やそのTPOについて講演したそうです。
現在は「着付けをする人」向けの講座も開き、一部の受講生には齋藤さんの着付けの仕事のアシスタントもお願いしているのだとか。

「最近では、『花fashion』という花専門雑誌の記事の中で、和のフラワーアレンジメントを持った花嫁の着付けの仕事をし、
高価な着物に触れる機会もいただきました。
良い物に触れる、知ることはまた仕事の士気が高まります。
着付けもTPOが大切で、着付け方もそれ相応のスキルが求められるので、オールマイティにこなせるようにするためにも、
分け隔て無く幅広く色々な着物を知ることも必要です。」

さらに、インタビューを依頼した日は、仕事でカナダに行く直前のことでした。
「2020年東京オリンピック開催に向けて、何か手伝える仕事はないか」と漠然と思っていたところ、
フェイスブックで「イマジン・ワンワールド」というプロジェクトを知りました。
このプロジェクトは196カ国それぞれの国が大切にしているものを柄として描いた着物を展示・発表・着装することなどで「世界はひとつ」であることを示すもので、名付けて「IMAGINE ONEWORLD KIMONO PROJECT」。
「私も一緒にやりたい!」と思い立つと同時に、すぐに代表者に連絡。
多忙な方でなかなかアポがとれませんでしたが、お会いした時に「これまでの経歴」や「熱意」を伝えたところ
「あなたなら。一緒にやりましょう」と仲間に入れてもらうことができました。

ここでの齋藤さんのミッションは、「着物イベントの運営に携わりながら、イマジン・ワンワールドのプロジェクトのスポンサーを探す」というもの。
いわばプロジェクトマネージャー兼PR、営業としての存在です。
今回のカナダでの仕事も「Japan Festival Canada 2017」というイベントでの着物の着付けとPRでした。

「交渉事が得意というわけではなかったのですが、人とのコミュニケーションはCA時代から必要でしたし得意でもあり、
磨きをかけられたスキルです。それに“元CA”というと話のツールになり、みなさん耳を傾けてくださいます。」
こだわり、目指すこと

齋藤さんが着付けでいつも心がけていること、それは「美しさ」。
実はこのプロジェクトで最も目を引いて参加したい!と思ったのは、その着付けの美しさだったそうです。
着付けに長けたコアメンバーが沢山いる中で、さすがに着付けを担当させてもらえないだろう、と思っていたのですが、
首相官邸へのイベントPRの訪問時を始め、少しずつ任されるようになりました。

仕事はどんどん面白くなっていきます。最後に、ご家庭とのバランスを伺ったところ、
「仕事を続ける上で一番大切にしているのは家庭であり、その次に仕事、というスタンスは仕事を始めた頃からずっと変わりません」とのこと。
「もちろん、働くことに主人が賛成で協力的なことは本当に助かっています。かといって甘えてばかりでもなく、限界までは自分で頑張ります。
そして、感謝の気持ちをきちんと伝えることもとても大切にしています。」

好きが高じて広がった美の世界、今後の展望は
「海外での着物への興味の高さに驚きました。いつかは海外で着付けを広める仕組みを作りたいです」とのこと。
日本の伝統文化継承のためにも躍進する齋藤さんの活躍が今後も大変楽しみです。


◇ "きものスタイリスト 優子" 『きものスタイリスト 優子』のホームページ



教室運営がまだ決まっていなかった頃から用意していたご自宅の和室では、
着付け教室の他に今ではビューティーサロンとして
ネイリストとのコラボによる『ネイル&フェイシャルトリートメント』も運営しています。
インタビューを終えて、『成功の反対は失敗ではなく、何もしないこと』、という言葉を思い出しました。
齋藤さんのキャリアの裏側に、努力、そして行動力という言葉を見つけることができました。





齋藤さんにQuestion♪
転職して、CAだったから良かったこと,,,苦労したこと,,,
CAだから良かったこと
・交渉事や人との対話がスムーズにできます。
客室乗務員としての業務を通じて対人スキル、特に初めて会う人とのコミュニケーション能力が磨かれたのと、
相手を思いやる気持ち、またおもてなしの考え方を学ぶことができたこと。

CAだったから苦労したこと
・PC力のなさ
・プライドが高く、時に邪魔になること
エアラインを辞めて転職を考えている方へのアドバイス
資格、特技はアピールの一つだし、それを使って仕事をする、もはや学歴より、資格の時代です。
もしくは、それを武器に仕事を選ぶことができることもあるでしょう。
興味のある分野の資格取得はお金に余裕があるうちに是非チャレンジしてください。決して邪魔にはなりませんから。


☆齋藤さんへのご質問などございましたら、こちらへご記入ください。