Cure Aile ホーム > たまてばCOlumn > 今月の聞かせて!お姉様 > 今月の聞かせて!お姉様 No.034

第34回 相馬 千尋さん2022/01/22

お母様が旅行好きで小さい頃から世界中を旅していらした相馬千尋さん。10歳の時に北海道へ向かう機内で出会ったCAさんへ憧れを抱いたことがきっかけでCAになりました。11年在籍するも実際にフライトしていた期間は4年間。人生何が起こるか分からないとおっしゃる千尋さんの苦悩や決断、現在のインスタ講師・インスタコンサルのお仕事に至るまでのお話を伺いました。

憧れのCAになるまで

旅行好きのお母様の影響で、小さい頃からアジア、アメリカ、ヨーロッパ、アフリカと色々なところを旅していらした相馬千尋さん。10歳の時に北海道へ向かう機内で出会ったとても素敵なC Aさんに勇気を出して手紙を渡したところ、すぐに丁寧なお返事が届きます。この経験で必ず自分も将来CAになると決意。この時のCAさんがずっと千尋さんの中のロールモデルだったそうです。

千尋さんには高校時代ロシアのウラジオストックへ留学した経験があります。

「ソ連崩壊直後で物資が不足していました。同い年の女の子にティッシュをねだられたり、紙不足で学校でも印刷物が配布できないため全て手書きでメモをしたりしました。ウラジオストックは新潟から飛行機で1時間。こんな日本に近いところにこんな貧しい国があるのかと衝撃を受けると同時に、モノも人も大切にしなくてはいけないと身をもって学びました。」

短大へ進学した千尋さんのCAへの憧れはさらに強まり、CAさんを観察したり、話しかけたりするために空港通いもしていたそうです。そんな努力が身を結んで見事CAの職に就くことができました。

苦労した訓練時代

訓練時代は教えてもらったことを自分の中に落とし込むのに苦労し休みの日も仕事のことばかり考えていた千尋さん。入社1~2年は遊ぶ余裕もなく制服着たまま寝てしまうこともあったとか。

「サービスをしながらも保安要員としての役割を担えなくてはいけないので、常に緊張していました。どの仕事に対しても真剣に取り組むことはこの時に培いました。元々負けず嫌いで、短大卒で若いからできないって思われたくないという思いもありました。

『一人でも多くの人にあなたのフライトでよかったって思ってもらう』という目標を掲げて頑張りました。時代的に気を抜くと辞めさせられる環境だったのも事実です。厳しくはありましたが、会社も仕事も大好きで天職だと思ってキャリアを積んでいきたいとずっと願っていました。」

人生何が起こるか分からない

ハワイ生まれの日系人であるご主人が日本に来て仕事をするという約束で結婚をした千尋さん。結婚式だけハワイであげるつもりがお腹の中にいた娘さんもそのままハワイで出産します。そうしているうちに法律が絡んだ状況が変わってしまい、ご主人が日本で仕事が出来なくなってしまったそうです。

「人生何が起こるか分からないものです。私にとってはまるで予想外の展開でした。焦って会社に復帰できる期限を最大まで延長して、計画的に息子を出産。何とか育児休暇の期間中に日本に帰れないかと試みました。その間もカリフォルニアへ転勤やら夫も仕事が忙しくなり、そのうち会社への復帰の期限が迫ってきました。悩みに悩んだ結果、やはり退職せざるを得ない状況となりました。会社からそれを知らされた電話で言葉を失い、担当の方に、一度辞めたら戻れないのでよく考えてまた明日電話をくださいと言われました。

電話を切って眠れないまま迎えた運命の決断の日、離婚まで視野に入れて考えてみたものの結局辞める以外の選択肢が無く、電話を切った後に号泣したのをよく覚えています。あんなになりたかった職業をこんなにあっさり電話一本で終わってしまうなんて…ショックでした。」

次のキャリアを模索する中でのインスタグラムとの出会い

航空会社へ戻ることを手放した千尋さんはなかなか次に打ち込める仕事が見つからないまま模索し続けます。得意の洋裁で子供服を作ってネット販売したり、ウェディング業界で働いてみたり、知り合いの飲食店で仕事したり……。

「インスタグラムの仕事との出会いは2014年でした。初めはハワイや旅行の写真をアップしただけで、人々の反応が楽しくて、写真が綺麗に並んでいるカタログの様なアカウントを見たり、自分でも構築するのが好きになり、いつしか夢中になっていきました。」

スモールビジネスが多いハワイでは、その頃からFacebookよりインスタグラムで集客するのが主流になっていたそうです。

「たまたまハワイの友人達が次々とお店を始めて、インスタグラムでのPRを頼まれて試行錯誤を繰り返していくうちに、ユーザーとのコミュニケーションがかつて機内で行っていた接客業と重なるものを感じ、楽しくなっていきました。しばらくは洋裁の仕事と飲食店でお仕事をする傍ら、企業のインスタグラム運用のお仕事も並行して行っていました。」

自分の好きと得意が活かせる仕事

「デザイン」と「お客様とのコミュニケーション」が大好きだと気付いた千尋さん。インスタ上でアンケートを取り、キャンペーンを行ったり、メニューを改定したり、顧客と共にアカウントが成長していく達成感も感じていました。

コロナ禍ハワイで失業し起業した友人達からSNSで認知を広めたいとの依頼を受け、インスタグラム運用を教える方向に転換していったそうです。

「お客様が何を求めていらっしゃるか、お客様をよく観察し、声にならない気持ちも察するようにCA時代訓練されてきましたので、ヒヤリングしてクライアントのお気持ちをビジネスに反映させることが割と得意と感じでいました。

また、限られた空間で時間制限もある仕事でしたので、いつまでにどの様に仕事をこなすか、逆算して仕事をこなしていく能力もCA時代に培ってきたものです。」

お客様のインスタ運用をサポートする中で、千尋さんご自身も洋裁から自分の世界観を持ったブランドを持ちたいと、モノトーンハワイのD2Cアパレルオンラインショップを一年前に立ち上げます。

「私の中で記憶に残っている世界中の美しい景色や人々、東京での都会ライフと現在住んでいるハワイライフを掛け合わせた世界観です。」

人生は選択の連続

意図せず迎えた転機に打ちひしがれ続けることなく、ご自身の道を切り開いていらっしゃる千尋さんは、どんな時も自分が決断したことに責任を持つことを忘れないようにしているそうです。

「小さい頃からくよくよしていると『自分で決めたんでしょ』と母に言われてきました。何かを得るためには何かを手放す必要があります。トータルで考えた時に何を得て何を失うかを最終的に決断したのは自分です。誰かのせいにしようと思えばいくらでもできますが、それも含め結局選んでいるのは自分。そのことを忘れないようにしています。どっちを選んでも自分の人生です。」

現在は世界中のクライアントさんを相手にインスタグラムの個人コンサルや、マーケティング、ブランディングを手がけていらっしゃる千尋さん。「自分はハワイにずっといるけど、オンラインで各地に飛び回っています。国際線で飛び回っていた時と同じ感覚がします」という言葉の通り、C Aでの経験も生かした上でオンラインの可能性を見出しうまくお仕事に活用されている姿がとても印象的でした。
(取材:橋本恭子/文:吉良悠子)




相馬千尋さんにQuestion♪
転職して、CAだったから良かったこと,,,苦労したこと,,,
◆CAでよかったこと
CA時代に学んだことが全部役に立っています。特に私は接客が好きで、お客様とコミュニケーションすることに生きがいを感じていいます。CA時代に培ったお客様が何を求めていらっしゃるかお気持ちを汲んで反映させる力は一生の宝物です。

◆苦労したこと
よかったことと紙一重でもあるのですが、相手のことをこちらが考えなくてもいい領域まで考えすぎてしまって、息詰まることがあります。CA時代はフライト終わるまでに解決すると割り切ることができましたが、今の仕事では取り越し苦労してしまうことがよくありました。最近『嫌われる勇気』を読んで 自分の課題と相手の課題をスッキリ整理できるようになってきました。できないことは言葉を選んで正しくお伝えすることができるようになってきました。

エアラインを辞めて転職を考えている方へのアドバイス
CAの仕事はいろんなことに注意を払わなくては成り立ちません。それができている自分にぜひ自信を持っていただきたいです。

そして何か「これだ」と思ったことは続けてみて欲しいです。すぐに形にならないかもしれませんが、続けてみればどういう風に花咲くか分かりません。「私なんて」と謙虚にしていたら、人生が終わってしまいます。どんな状況でもやる気さえあれば、前に進むことはできます。誰もが「今」という時間しか生きられないので、○○ができたら…ではなく、今すぐ始めてみるのがいいと思います。ピンときたものには思い切って飛び込んでみて欲しいです。

相馬さんのとある一日
  7:00  起床
  8:00  珈琲を飲みながらSNSチェック
  9:00 夫のクリニック医療事務のお仕事
16:00 インスタ画像編集のお仕事
18:00 夕飯支度、家事
21:00 インスタコンサル、画像編集のお仕事
  0:00  お風呂、本を読む、音楽を聴く
  1:30 就寝

相馬さんのMy Rule
○自分の直感を信じること

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