Cure Aile ホーム > たまてばCOlumn > 今月の聞かせて!お姉様 > 今月の聞かせて!お姉様 No.035

第35回 池田 祐子さん2022/02/25

なりたい職業はCAでなく小学校の先生だったんです。とおっしゃる池田祐子さん。就職活動はいつも背水の陣でのぞみ一社集中型。国内大手航空会社で15年乗務後、早期特別退職制度を機に都内某有名5つ星ホテルへ転職されました。現在はゲストリレーションズマネージャーとしてご活躍ですが、これまでどのような経験を重ねてこられたのでしょうか。

小学校教諭を断念しCA試験に挑戦

大学では教育学部に在籍。小学校の林間学校や障害児学級の介助員等のアルバイトをするなど教育の現場で経験を重ね、教員採用試験に臨みました。当時東京都では採用倍率約200倍!結果は不合格。小学校教員になることしか考えていなかったので他の就職活動は全くしておらず、どうしようかと途方に暮れました。

それからは新聞の求人欄を見る毎日。ある日「私達と一緒に空を飛びませんか?」のキャッチコピーで大手国内航空会社の客室乗務員募集の記事を発見しました。飛行機が元々苦手で乗ることが怖い気持ちがある反面、心惹かれるものがありチャレンジすることに。
人の心理の機微について勉強していた経験がありましたから、接客に役立つのではとの直感があったんです。


コックピット内にて

まず「スチュワーデスになる本」を購入しこなしました。
当時のCA採用試験会場は、ピンクや白のスーツと華やか。紺ブレを着ていった私は最初こそ面くらいましたが、2次試験へと進む中、真面目そうなタイプの方々が残っていましたので、意外といけるのではとも感じていました。
他社は受けていますか?との問いに御社しか受けていないとの返答。まさに背水の陣で臨んだ試験でしたが、トントン拍子に進み見事入社することができました。

機内にてグループの方々と

在籍中は体力勝負の日々

訓練期間中は、教える側の勉強をしていたこともあり、教官への理解が深い新人だったと思います。教官の気持ちがわかり共感することができ、逆にクラスの運営について相談を受けることもありました。女性から目の敵にされづらいタイプなのか、女性同士の摩擦も受けにくく、この時期は今振り返ってもとても充実した楽しい期間でした。

ラインアウトしてから1年半は国内線に乗務、その後国際線のエコノミー、ビジネスクラス、ファーストクラス担当とステップアップし月3、4本国際線、残りは国内線のフライトをするスタイルでした。

また、フライトと並行しCAだけで構成されている社内チアダンスチームに入団しました。休日は社内の体育館に行って練習。全国大会への出場やバスケットの試合での応援、国内・海外を問わず営業チームとともに営業まわりなどもしていました。体力的にとてもハードでしたが、充実した活動で30歳になるまで、4年間ほど活動しました。


チアダンスチームのメンバーと

もともと航空性中耳炎になりやすく、在籍した15年間で5~6度ほど航空性中耳炎に。
フライト生活が体力的に厳しいと感じ始めていた頃、子会社へ教官として出向の話が舞い込みました。

教師になりたかったのでまさに天職!今までの経験や勉強が全て生かすことができフライト生活の中で一番やりがいを感じたのと同時に、自分はやはり先生になりたい気持ちがあったのだと再認識したのもこの時期でした。

教官として後進を指導

2、3年後にはまた戻ることになりましたが、体力的にはもう限界を感じており、このままフライトを続けると体を壊してしまうと、早期特別退職制度導入時を機に、私も15年のフライト生活に幕を下ろしました。

ホテルへ就職、苦難の日々とマナー講師へのスキルアップ


退職を決意した時には次の進路は決まっていませんでしたが、15年培った接遇スキルが活かせるところを条件にと考えていました。早期退職制度に伴い再就職のためのフェスタが社外で開催され、そこに現在勤める都内某有名5つ星ホテルがブースを出していたのです。

このホテルで両親が結婚式を挙げ、家族で行事があるごとに利用していたこと。また、ちょうど建て替えの時期で下見をしたときのホテルの素晴らしさに圧倒され、どうしても入社したい気持ちが高まっていきました。

ご縁をいただき、採用された配属先は総支配人室 ゲストリレーションズ課。VIPへの対応、苦情・ご意見、急病人、病気・事故・トラブル等を応対するホテルのベテランが集う部署でした。
当初は、パートとして入社。接遇に関して自信はあるものの、パソコン作業、電話応対や慣れない職場環境と、当初は苦労の連続。それでも小さい石を積み重ねるように地道に頑張る毎日。とはいえ、今まで培った接遇スキルは確かなものであるはずとの揺るぎのない自信はあり、いつか花開く時が来るはずと笑顔だけは絶やさぬよう心がけていました。

3年後に晴れて正社員に。しかし、ホテルの顔として認められるにはまだ足りないと感じる日々。そこで、すでに2級まで取得していたマナー・プロトコール検定の1級への昇級、日本マナー・プロトコール協会認定講師資格の取得を決意したのです。
5年かけて成し遂げた時は、日本のホテル業界で唯一の1級および認定講師資格取得者。社内、社外を問わず研修オファーが舞い込むようになり、リピーターも増えていく中でのコロナ騒動。会社でも新規事業としてコンサル事業が設立し、そちらに抜擢されることになりました。

接遇マナー研修にて

ホテルに入社して10年。気がつけば指導者になる夢も叶っていました。
好きな仕事をしていると疲れないものですね。ようやく自分らしいペースでの働き方となり、今は心から満足しています。



池田祐子さんにQuestion♪
転職して、CAだったから良かったこと,,,苦労したこと,,,
◆CAでよかったこと
接遇の基礎を学び体得できたこと。
企業人としての、品位やプライドを学べたこと。
心から尊敬できる素晴らしい先輩・同僚・後輩に出逢えたこと。

◆苦労したこと
パソコンを含め一般的なビジネススキルがなかったので、1から学ぶことが必要でしたが、
学ぶ機会を与えてもらったと感じており、特にマイナス面とは感じていません。
エアラインを辞めて転職を考えている方へのアドバイス
全く違う分野というより、自身のスキルや強みを見つめ直した上で、その延長上にある
新しい世界を考えると良いと思います。世の中には素敵な方々との出逢いが沢山あります。是非勇気をもって、新しい自分探しの冒険を楽しんで下さい!

(取材:相沢里奈/文:今福英美)
池田さんのとある一日
 6:00 起床、ストレッチ、白湯を飲む
 6:30  準備
 7:00  朝食
 7:30  通勤
 9:00  出社
 9:30  勤務開始
12:30  昼食
19:00  勤務終了
19:30  夕食
20:30  帰宅
21:00  入浴
22:00  自由時間(テレビ、読者、資料作り)
24:00  就寝 
池田さんのMy Rule
森羅万象、全ての人に感謝する。
色んな人に支えられて生きていると感謝すること。
人間いつどうなるかわからない。今日が最後の日と思い、日々を精一杯生きる。

☆池田祐子さんへのお問合せは、こちらへご記入ください。