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第3回 From London vol.12019/05/05

「チャコの期間限定ロンドン生活」

今回は渡英まもなく2年になるロンドン生活の由無し事を綴っていこうと思う。

育児休職から深夜免除で復帰し、職場と保育園と自宅の往復生活のリズムに慣れてきた頃、既に海外赴任をしている夫の存在が薄れていきつつあった3歳になろうとする息子が、とうとう男の人なら誰彼構わず「パパ」と呼び始めたのをきっかけに、私は仕事を辞めて夫に帯同する事を静かに決めた。

復帰してこれから頑張るぞと思っていたので何となく無念だったが、当時はこれ以上の理由はないであろうと、楽しかったフライト生活をこうして終え、生活が一変した。
公園を抜けて駅へ向かう。
3月になっても朝はまだ薄暗いが公園の気持ちいい。

海外生活という響きは優雅な生活をイメージさせるのかもしれない。だが私の場合は毎日マラソン大会である。所作に気をつかっていたあの頃が懐かしい。

子供達を学校まで連れて行き、家に戻って一通りの家事を終えておく。到着時間から逆算してサービスを組み立てていくように、その日一日の予定がいっぱいなら晩御飯の下ごしらえまでを済ませる。時々だが学校行事の付き添いや手伝いにボランティアで参加したりしてると日中はそれなりに忙しい。

子供達を学校まで迎えに行った放課後からは大変である。
太陽の光はこの国では貴重であり、晴れている日は子供達を公園で遊ばせるが、自由気ままに走り回る子供達が常に自分の視界に入るように付いて回ったり、履修に必要な習い事(例えば、イングランドでは小学校卒業までに泳げるようになることとあるが、娘の学校では水泳の授業はないし、一時期音楽の先生が産休のため不在だった。)に付き添ったりと、兄弟がいればやる事も違うので身体がいくつあっても足りない。子供達の送り迎えで家を出たり入ったりして、近所をぐるぐる回って家に帰った後も、本読みの宿題や日本語の勉強を見たりと寝かしつけるまで子供のお世話は続くのである。隣のアパートの管理人さんは毎日くたびれてる私を不憫に思ってか、いつも冗談を交えて励ましてくれる。

やる事も多いのに真っ直ぐ歩かない子供を連れてると事がスムーズにいかないし、私の場合は言葉の壁がさらに私の体力を消耗させるのだ。
毎日フルマラソンを走ったくらいのヘトヘト具合である。

私はまだ未就学児を抱えているので自由な時間は週2日の保育園の間などに限られるが、それでも期間限定のロンドン滞在であるので、束の間の自由時間には市内にある博物館や美術館に足を運んでいる。

有り難いことに多くは無料で国内外の歴史遺産を多く展示しており、とても見応えがある。そして大英帝国という深い歴史と豊かな時代背景がまだまだ残るロンドンの街並みは、忙しい日常を忘れさせ、ゆったりとした気分にさせてくれる。街角にはどこかに花が咲いており、曇りが多いイギリスに彩りを与える。

雨のイメージがあるイギリスだが、年間降水量は日本より断然少ない。

2月下旬から咲きはじめる桜にそっくりなアーモンドの花。

さて、ロンドンに住んで一番びっくりしたのがキツネとの共存である。
その数1万匹以上と言われているアカギツネがロンドンに住んでいる。

イギリス人は動物好きだからか、またはネズミを捕食としてるからなのか、庭先の植物を荒らしたりゴミを漁ったり、繁殖期の夜中の大きな鳴き声と色々問題はあるが今のところ駆除はせず共存を目指しているそうだ。

urban fox達は警戒心が強く、ちょっとの音でも逃げてしまい、昼間に見かけるのはなかなか難しいかもしれない。だから観光でロンドンに来ても出会うことはあまりないと思うが、夜中に外を観察してると餌を求めて彷徨っているキツネ達を見ることが出来る。
ちなみにメイ首相の官邸内ではネズミ対策としてネコが飼われているそうだ。

また公園にはリスがたくさんおり、食べ物を頂戴と足元まで寄ってくるくらい人慣れしていて、その可愛い姿が大人気だ。

リスさんはやっぱり可愛い。


うちの子供達は駅に向かうための抜け道の公園で、リスを探して餌をあげたり、池の魚や水鳥を眺めたりする。ロンドンという都市に居ながらも身近に豊かな自然があり、生活を自然と共に楽しむ姿を見てると、都市で自然と共存とはとても贅沢だなあと思うのである。
そのかわり、花粉症持ちとしては街路樹のマロニエ、公園の芝生や木々からの凄まじい花粉飛散の時期を過ごすのは苦痛な時もあるが。

同じ様な毎日があっと言う間に過ぎる。
いつかは優雅な時間を楽しみたいと思いながら、毎日を体力勝負で完走を目指すのである。

リスだけでなく、ロビンも餌を求めて近付いてくる。
イギリスでは馴染み深い鳥で、正式制定されてはないが国鳥とされ、
クリスマスになるとギフトの缶など描かれているのをよく見かける。