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第23回 From Germany vol.12020/04/23

Guten Tag!ドイツ在住のアーレンス(有田)栄子です。


13年勤めた日系航空会社を退職し、夢だった海外留学を叶えるべく、退職金を握り締めて一人ドイツに渡ったのが2012年1月。1年間語学学校で徹底的にドイツ語を学び、その後は現地で2年程社会人に。労働ビザ終了と共に日本へ帰国し、地元大阪にある外資系ホテルでコンシェルジュとして1年半勤務。

結婚を機に2016年に再度渡独し、現在はドイツ人夫と共に、ワイナリー巡りと完全送迎付の個人旅行を主とした小さなツアー会社を運営しています。時にはひと月に10日程お客様と共にドイツや近郊国を転々とすることもあり、ホテル生活が続いても全く苦にならないのは元クルーならではでしょうか。

パーペンブルグ中心部の街並み。
左の建物はホテル、右手の建物は市庁舎です。
この地域の特徴として、建物や家は主に赤煉瓦作りです。


現在は北西ドイツ、オランダとの国境沿いの町のパーペンブルグというところに住んでいます。日本人には全く知名度はないのですが、ドイツでは大型客船建造の町として知られています。

市内中央を流れる運河の両岸にはいつも綺麗な花々が咲いています。
ここは地元住民と観光客のお散歩コースになっています。


え?造船?ドイツって海があるの?と聞かれることもありますが、勿論あります。北ドイツは北海に接しているので海の幸も豊富で、夏は海水浴も楽しむ事ができます。
造船所からは年に数回、完成した客船がハンガーを出発し、処女航海に向けて町内の運河を通って北海へ出航していきます。2月中旬もイギリス籍の船がハンガーからお目見えしました。

2月中旬にハンガーから出てきたイギリス籍の巨大客船。
大きい~! 救命ボートの設置など、様々な最終の工程を経たらいよいよ出航です!


間近で見る大型客船は圧巻の一言!出航する船の見学はローカルにはちょっとした楽しみで、私もタイミングが合えば地元民だけが知っている穴場のスポットから見学します。

ある日の休日の風景。のんびりした雰囲気が伝わってきます。
お天気が良い時はどこもテラス席はいつも満席です。

さて、ドイツ人と日本人は似ているところがあると言われますが、大きく異なる部分を象徴した文章があります。それは

『日本人は仕事の為に生き、ドイツ人は生きる為に働く』

何とも皮肉のある文章ですが、少し的を得ている気もします。

北海の沿岸地域はドイツ人の保養地にもなっています。この海の向こうはノルウェーです。


ドイツ人にとってプライベートの時間は何よりも大切で、仕事でプライベートを削るというのはあり得ません。私はお客様からの問合せにはお待たせすると申し訳ないという気持ちが先行するので、休業日であろうと夜であろうとつい返信しそうになります。すると夫は隣でいつも渋い顔。お客様が待っていようといまいと仕事は決められた時間のみ、あとは自分の時間、余暇と人生はたっぷり楽しむ、それがドイツ流の考え方なのです。

またドイツは、日曜祝日は店舗や会社は一部を除き休業することが法律で定められています。せっかくの休みだし、ちょっとショッピングに繰り出すか!ということは一切出来ず、スーパーへの買出しも叶いません。この日はみんな家で過ごしたり、食事に出かけたりしてゆったりと過ごします。日本の感覚からすれば恐ろしく不便なのですが、労働者を確実に休ませ、プライベートの時間をしっかりと取ることの出来る社会になっているかと言えます。

渡独当時はこの習慣や考え方に中々馴染めず、失敗の連続で様々な葛藤もありました。周囲には良くも悪くも「休みの日にも働く日本人はやっぱり噂通り勤勉だ」と言われたりもしました。日本人ゆえ未だに曜日祝日に関係なくついつい仕事をしてしまいそうになるのですが、以前に比べると随分とメリハリのある働き方が出来るようになってきたように思います。このドイツ流の仕事とプライベートのバランスの取り方は非常に学ぶべきことが多いなと日々感じています。

海岸でのサンセットはとても綺麗!
飛行機雲もたくさん見えます。