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第33回 From Korea vol.32020/12/14

今回頂いた3回のコラムのお話を頂いて、「今の生活において、CAをしていて役に立ったこと」をテーマに私自身を振り返ってみました。

コロナ禍の今年は野外によく出かけました。こちらは星の王子様をコンセプトに作られた「プチフランス」。夏に長男と。


海外生活に限ったことではありませんが、人生生きていればいろいろなことがあります。
例えば普段はそんなことはなくても、辛い出来事が重なり「ここは私の居場所じゃないのかも」と思うようなことも。

それでも重たい気持ちを引きずって、仕事をしていた時にこんな出来事がありました。
私は日本語講師をしておりますが、日本のIT企業に就職を目指す学生に向けて日本語を教えているので、文法や日常会話の仕方を教える、というよりは面接向けの日本語練習が主な仕事内容です。
辛いことが重なっていた時に、面接練習で、とある学生に「日本で働く上で大切なことはなんだと思いますか?」と質問を投げかけたことがありました。するとその学生が「おもてなし精神だと思います。ありふれたように聞こえるかもしれませんが、今日本語を教えてくれている日本人の先生に出会い、努力すること、相手に対して興味を持つ姿勢、誠意を尽くして教えてくれる姿勢に本当に感動しました。その精神と姿勢を私も当たり前に思って働くことを、日本に行って働く時に大切にしたいです。」と答えてくれました。

辛いことが重なった時にこんなことを言ってくれたので、とても心に響いたと共に、嬉しくて涙が溢れました。教師という仕事は誰かの人生の通過点にいる存在でしかありませんが、人が成長する過程を間近で見せてもらえる、とても貴重な職業であると思います。同時に長期的にしっかりと学生に向き合う忍耐力、観察力、コーチングの力も必要な仕事です。

反面CAの仕事は同じ人と長期的に過ごすことのない、いわば刹那的な仕事ではありましたが、一期一会で出会ったお客様の大切な命を預かり、初めましての仲間とチームワークを発揮してベストパフォーマンスを提供する仕事であるため、その時々のご縁を大切にしながら誠意を持って仕事に取り組むことが大切な仕事です。

CAの経験は教師としてどう役に立っているか考えた時、学生にそう話してもらったことで「フライト毎に誠意を持って働いていた姿勢」ではないかと感じました。当たり前だと考えていた姿勢が、誰かの目には特別に映り、目標にもなり得るのだと知った時、とても身が引き締まる思いがしました。

「ピンクミューリー(ミューリーグラス)」と呼ばれる韓国の秋の「インスタ映え」風物詩。ふわふわして繊細で、とても綺麗です!


CAをしている、あるいは過去にしていた友人を客観的に見ていて思うのは、凝り性だったり、勉強家であったり、気遣いの達人だなぁということです。
私自身も自分に対して時折ストイックな面があり、そのせいで心が疲れてしまうことも多いのですが、そうしないと気が済まない性分でもあります。でもどんな時にも誠心誠意仕事をする、というのはCAをしていた時に見た共に働く仲間から学んだ点が多かったように思います。

ロンドンに住みながらCAの仕事をしていた長いようで短い4年間を、韓国に住む月日があっという間に追い越してしまいました。韓国に住んでからもう6年です。


ここはソウルランドというテーマパーク。施設は古いですがコンパクトにまとまっていてお気に入りスポットの一つです。


6年の間に何を達成したのかと言われれば、大きなことはさほどないかもしれませんが、「結婚する人が韓国人だから」と言う理由だけで言葉もわからない国に住み、子供を育てながら自分自身を育てているような私です。
ロンドンは自分の意思でしたいことをするための選択だったとしたら、韓国はパートナーと未知なる冒険に出るような選択だったとでも言いましょうか。




職場の近くに夫が出張でやって来たので、ランチデートをしました。出会ってから14年経つ今も変わらず優しいです。


ニュースを見ていると近いようで遠い二国ですが、日本語を教えながら思うことは、暗いニュースの傍ら「日本が大好きです」と目をキラキラさせて答えてくれる若者の姿と、楽しそうに日本語を教えていらっしゃる韓国人の先生方を通して、やはりその国の様々な人に出会うことが、ニュースやSNSの情報から判断するよりも健全で心豊かになれると改めて思います。

海外で不安な気持ちになったり、居場所がないと感じた時は、推測だけで話をするのではなく、行動してみること。その力はCAをしていた時に「気になったらなんでも聞いてみる姿勢」を身につけたことが大きいのかもしれないと思いました。これは同僚からだけでなく、グローバルな視点を持つ様々なお客様とお話しして勉強させていただいた点でもあると思います。

私は外国で、その土地の言葉で現地の方々のことを知り、信頼関係を構築していく過程が好きです。日本も大好きですが、様々な価値観を知ることで視野を広げられることが楽しく、それが人生を更に輝かせてくれていると信じています。

私はCAの仕事を去り、教師の仕事を選択しました。韓国で初めて就職活動をしていた約1年半前を振り返ると「手に資格や技術がないから」という理由で選んだ仕事でした。韓国では無資格でも日本語を教えられますが、教え方の基本の基も知らない状態で飛び込み、最初は毎日授業準備が大変でした。資格や技術がなくても誠意を持って仕事をしていたら、他の先生方も快く助けてくださったり、その姿勢を周囲からも評価して頂けるようになり「あなただからお願いしたい」という仕事も舞い込んできたりして、思い切って挑戦してみてよかったと今は思っています。入り口はどんな形であれ、勇気を持って飛び込んでみたら、きっとCAの仕事が活かせる職業は無限に広がっていると思います。

ウイングを外したCAのみなさんの未来が輝かしいものでありますよう、韓国からエールを送ります。

「ウリン、ハルスイッソ!(私たちなら、できます!)」