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第38回 From New Jersey vol.32021/05/10

最後の回になりました。アメリカ東海岸から、Cimaです。
さて、最後はこのリレーコラムの一つの必須要素である「客室乗務員になって良かった事」について話していきたいと思います。


日本からNJへ戻りました~


他の皆さんも話されている様に、なんといってもトラベルパスが使い放題という利点を活かしてのフットワークの軽さですよね。一般の方々とは、考え方が少しズレているみたいで、成田にも拠点がある私にとって電車で都内に出るのも、直行便の飛行機でNYに遊びに行くのも同じ事。ちょっと時間がかかるだけ…と考えています。これは、なかなか航空業界に居ないと分かり得ない感覚ですよね。美味しいものに目がない私は、行った先で食べたグルメが忘れられず、その料理だけを目当てにまたその土地を目指して旅することも多々あります。
我が社のトラベルパスシステムは、無限で、相互パス契約がある他社便でも無制限ですから、行けない所はほぼありません。リタイヤした後でも、その利点はあまり変わらず利用できて、ホントに素晴らしい事です。これだけで、客室乗務員になった甲斐があります(笑)。自社便だけではなく、他社便を利用させて頂くことも多くその際には、ついついサービスや機内設備等じっくりと観察し我が社との違いに一喜一憂しています。


テーマパークの様なアジアの可愛い街にて


客室乗務員の利点を考えた時、我が社のフレキシブルな休暇システムも大きな一つと言えるでしょう。毎月百何時間飛んでも、全く飛ばなくても大丈夫な自由な社則、有給休暇のこれまたフレキシブルな使い方等々。仕事をしながらでも、時間の使い方は無限大です。


チャーター便乗務で訪れたインド


私がこの仕事を初めて間も無い頃NYの先輩乗務員が、長年NY-成田路線を飛ぶ事で被る放射線被爆についてどこかの専門家の論文を用いて会社や組合に何かを働きかけていた事をうっすらと記憶しています。それから30年経ち、それが原因とは言えませんが、私自身も癌になり、ふと周りを見渡すと東海岸ベースに所属していた癌経験ありの客室乗務員がやはり多い様な気がします。飛んでいる事で地上よりも多量の放射線を浴びて病気になったとしたならば、客室乗務員である事の欠点になってしまいますが、ここでフレキシブルな休みを取れることが利点として浮上する訳です! 過去に2度、私は癌と診断され、手術や抗がん剤治療、これまた放射線治療などを繰り返しています。でもその治療中、ほぼ休まず仕事は続けられていました。もちろん入院していた6週間は、休んでおりましたが、有給休暇を利用し、月曜日から金曜日迄平日毎日受けなきゃいけない長期の放射線治療中には、週末にフライトをしておりました。体調がキツい時は、少し近場の楽なフライトを、また、体調が良い時は、遠くても楽しいレイオーバーのフライトを選んで過ごしていました。会社の同僚もほぼ知らなかったんじゃないかな?と思うほど普通に生活して、働けていましたねー。こんな経験からも私にとっては、この仕事、この会社でホントに良かったわー♪ と心から思えています。

ストーンヘンジからの帰り道で


今のご時世、飛び職を続けられている事は幸せです。私の多くの同僚も、泣く泣く地上に降りました。まだ飛んでいられる幸せをしっかり噛みしめながら、皆の想いを一緒に乗せてハッピーに飛び続けたいと思っております。


厚い雲の層を抜けて


地上がどんな悪天候でも、上昇して雲を抜けると綺麗な青空が広がる景色が大好き。

私たちのこの現状も、青空の元に帰れる日が一日も早く来ますように。