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第63回 From London vol.32024/08/16

こんにちは! Mikaです。
イギリスの外資系航空会社に入社し、結婚出産を経て、現在は客室責任者としてパートタイムで乗務を続けています。

今回は「産後の常務復帰」について、振り返ります。


産後、イギリスは6ヶ月の育休期間の補助金が国から支給されるため、アローワンス/パーディアム(出張手当)こそ無いものの、それまで同様に月収があり、その上有給休暇やマタニティー休暇を一斉申請すると、さらに6ヶ月のお休みがもらえるので、大いに活用することに。

復帰の目算も経って、出来れば早急に日本に飛びたかったのですが、実家の両親や、義両親、親戚等は、福島原発の影響も多少なりあり、すぐに顔を見せに行くことも出来ずで、ようやく娘を日本に連れて帰省できたのは、生まれてから8ヶ月経ってからでした。ちなみに次女に至っては、自社直行便が無くなり、他社で子連れで帰省は次女10ヶ月の時で、いずれも新生児時期をとっくに過ぎた頃でした。久しぶりの帰省、自分が母になってから初めての家族や親戚との再会で、なんだか、もうそれまでの自分には戻れないような、途轍もなく遠くに来てしまった様な、不思議な感覚に襲われたことを覚えています。


ボーイング747の操縦室にて。副操縦士に帽子もお借りして、嬉しい長女。
ヴァージンアトランティック航空では、9/11までは、操縦室をオープンドアにしており、お子様や、航空ファンの方はもちろん、旅の記念の多くのお客様を上空でお迎えしていました。
現在は、機長の許可を得て地上で業務に差し支えない時にFlight deck visitと続けています。


さて、ロンドンに戻り、いよいよ久しぶりの乗務に戻る準備の時が来ました。親戚や家族に頼ることができない環境で、主人と二人三脚の子育てです。

産後のブレインフォグで以前の様にマニュアルが頭に入っていかないショックと、それまでの乗務生活でのペースが全く通用しない復帰に、こんな私が客室責任者で大丈夫かと不安で、家に残す娘とその世話を仕事しながらこなさねばならぬ主人のことも心配で、復帰前夜はドキドキであまり眠れませんでした。

そんな胸の内を察してか、同僚が「復帰3本くらいは、子供のことが気がかりで、乗務で家を空けるのが不安だけれど、ひとたび慣れたら、自分にとっても、家族にとっても良いバランスになるから大丈夫」と励まされ、兎にも角にも無我夢中で復帰後数ヶ月。

ヒースロー空港にお迎えに来てくれた長女。


離乳食の作り置きにも慣れたと思えば、今度は就学児になって宿題や稽古事、と、あれよあれよと子供の行動範囲も増えていき、成長はあっという間で、成人までの折り返し地点を過ぎて、いよいよ子育ても佳境に入った昨今です。

乗務はそれまでの様に、会社の連絡事項に瞬時に反応したり、仕事優先でオフの時間を使うことはできなくなったけれど、幅広い価値観で今まで以上にコンパッションをもってサービス任務を行うことが出来るようになったのは、自分の経験値が増えたからなのかもしれません。


未就学児用のチルドレンセンターにて。
タイムテーブルにのっとり、朝から様々なクラスが乳児から幼児に用意されています。自由参加。費用は税金に含まれています。(2011年から2016年の情報のため、現在は有料のものもあるようです。)
図書館員の方による読み聞かせや、音楽家の方の歌、スポーツやダンス、アートや、面白いサイエンスコーナー、自分達でカットした果物や野菜をおやつにするなど、等幅広くクラスを運営してくれていて、大変お世話になりました。


次回へ続く