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第75回 From London vol.152026/01/19

『そして恒例のクリスマスフライト』

日本人にとって一年の大切な節目であるお正月。御三が日も終わり、いよいよ2026年が本格始動ですね。今年もキュアエール会員の皆さまにとって、健康で笑顔あふれる一年となりますよう、心よりお祈り申し上げます。

さて、筆者は今年も恒例のクリスマスフライトに乗務してまいりました。12月24日ロンドン発ボストン行き、25日にボストンを発ち、26日の朝にロンドンへ到着する行程です。

イギリスにとってクリスマスは、日本人がお正月を迎えるのと同じくらい大切な年中行事。日本ではイブが重視されますが、イギリスでは24日は25日の本番に向けた準備の日で、多くの店が早仕舞いします。まさに日本の大晦日のような位置づけです。

キリスト教圏では12月25日は祝日となり、一部を除く交通機関や多くの店が休業します。家族や親戚が集い、クリスマスのローストディナーを囲み、プレゼントを交換するのが習わしです。食卓には、ローストターキーにグレービーソース、ローストポテト、にんじんやパースニップのロースト、芽キャベツ、クランベリーソース、ブレッドソースなどが並びます。日本のおせち料理のように、内容はおおよそ共通していますが、調理法や味付け、メインの肉の選択は各家庭それぞれ。

プレゼントも、日本のお年賀のように近所や友人知人と菓子類を交換したり、日用品から高級品、家電まで、贈る相手によって実にさまざまです。午後3時には英国君主のクリスマススピーチが放送され、多くの家庭で視聴されます。

12月26日もイギリス連邦諸国では祝日で、「ボクシングデー」と呼ばれます。中世に使用人への贈り物を入れた"クリスマスボックス"を開ける日、あるいは貧しい人々への施し箱に由来するとされていますが、現代では冬のバーゲンセール初日として、街は多くの人で賑わいます。この3日間は、宗教的意味合いに加え、家族の絆、慈善、商業イベントが重なり合う、イギリスの冬のハイライトと言えるでしょう。

さて、今回のアサインメンバーは、私とプレミアムエコノミーおよびエコノミークラスの担当責任者を除くと、ほぼ新人さんばかり。これも毎年よくあるパターンです。初めて大切なクリスマスを家族と離れて過ごすクルーも多く、親心で皆をブリーフィングルームへ招きました。

以心伝心でエコノミー責任者と事前に用意した、ささやかなプレゼントをセッティング。病欠なく、遠方から無事に出社してくれたことへの感謝を込め、和やかにブリーフィングを開始します。クリスマス仕様のサービス内容や路線特有のお客様情報の共有も問題なし。保安や緊急時の手順確認、キャプテンブリーフィングも順調......と思いきや、「一人ずつ、1分でクリスマスジョークを披露しよう!」というキャプテンの一声。

それまでの真剣なセーフティーブリーフィングからの無茶振りに一同唖然としましたが、キャプテンの茶目っ気たっぷりのジョークで場は一気に和み、笑顔と一体感が生まれました。クリスマスの特別なフライトでお客様に楽しんでいただこうと気持ちを一つにし、ブリーフィングを終えて機内へ。

ヴァージンアトランティック航空では、以前は自前のクリスマスセーターや着ぐるみ、髪飾り、機内装飾まで自由でしたが、近年は規定が厳しくなり、会社支給の限定クリスマストレーナーのみの着用に。おそろいのトレーナーに着替え、いざボーディングです。



無事オンタイムでテイクオフ。機内ではローストターキーを中心に、シャンパンやカクテルを楽しまれるお客様の姿が見られ、クルーもこの時期ならではのサービスを満喫している様子でした。

ヴァージン創設以来のファンだというお客様は、「クリスマスの特別な日だからこそ」とこの便を予約されたそうで、1G席にご搭乗。クルー全員に高級チョコレートとクリスマス用ヘアバンドをプレゼントしてくださいました。ボストン便を選ばれた理由は、自社最短路線で、雰囲気を楽しむためだけに選んだとのこと。

飛行時間6時間43分の高速フライトで現地に夕方到着。パートナー同伴のクルーは、予約していたレストランへ急ぎました。ボストンも例にもれずクリスマスは休業の店が多く、価格も張ったようですが、それぞれ楽しい時間を過ごしたようです。

それ以外の私たちはルームパーティー。通常は外食しますが、せっかくのクリスマストリップということで、ホテル向かいのスターマーケットでおつまみやパーティー用のワインを購入。ボランティアしてくれたクルーの部屋に、グラスを持ち寄って集合です。ホスト役のクルーがDJとしてBGMを用意し、別のクルーが氷を調達するなど、手際よく準備して乾杯。



25日はホテルのレストランが営業しており、軽食をとって、あっという間に帰途につきます。帰り便も満席。クリスマス仕様でお客様をお迎えし、手際よく夕食サービスを終えると、6時間23分の短いフライトタイムのため、できるだけ長くお休みいただけるよう消灯します。到着1時間半前に朝食サービスを終え、ヒースロー空港に着陸。



疲労や風邪気味で体調が万全でなかったお客様がサービス中に倒れられる場面もありましたが、ファーストエイドで酸素吸引を行い、意識が回復。大事に至らず帰投できました。この季節は"determined traveler"が増えるため、ボーディング中からの注意が欠かせません。

26日も祝日のため、交通機関は一部運休や間引き運行ですが、車通勤以外のクルーには空港から50マイルまでタクシーが支給されるので安心です。皆で一丸となり、年末年始のオペレーションを支えます。

今回のクリスマスフライトも、お客様にも新人の同僚にも、ヴァージンカラーを存分に味わっていただけたのではないかと自負しています。




一方、完全に取り残していった我が家の家族にも、サンタクロースからのプレゼントは無事に届いたようです。クリスマス当日は、私が出発数日前に少し早めの家族パーティーで作ったローストターキーを温め直して食べてくれていました。日本人の家族ではありますが、イギリス生まれの娘たちにとってクリスマスはやはり特別な行事。毎年協力してくれる家族のおかげで、こうして乗務を続けられることを心からありがたく思います。



自分を支えてくれる家族や仲間、そして日頃お世話になっているすべての人に、改めて感謝を感じたクリスマスでした。