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第77回 From London vol.172026/03/19

木蓮の季節

まだ寒さの残るロンドンです。
次女は昨年の秋のオーディションを経て、年明けから週6でリハーサルでした。今年もまた学校との掛け持ち生活が再開しました。そしていよいよ来週、ウエストエンドのミュージカル『マチルダ』で初公演を迎えます。演じるのはラベンダー役です。

この作品は、長女もかつて出演していた作品でもあり、家族にとって特別な舞台でもあります。姉が立った同じ舞台に、今度は妹が立たせていただけることを、とても感慨深く、ありがたく思います。

マチルダステージ


そんなリハーサル生活佳境に毎年恒例の保安訓練があり、この時期特有(?)税金使い切り工事のせいで道路はいつも渋滞のため、時計と睨めっこで学校とリハーサル会場往復して、その合間に子供達が移動時に食べる弁当を作っては、また出動という生活でした。洗濯機を夜中に回して干してウトウトすると、また朝に。主人は長期出張で不在のため、乗務は休暇を頂いて、久しぶりの完全ワンオペでした。主人が戻り、保安試験後のワインが美味しかったこと!この3ヶ月ようやくここまで乗り切った達成感で、まだオープンする前から達成感いっぱいの筆者です。(笑)

次女Molly役 ミュージカルAnnie


気がつけば、長女と次女がショービズの世界に関わり始めてから、もう9年になります。ミュージカル、映画撮影、CMや声優、ドラマ撮影。なかなか経験できないような現場に立たせて頂いて来ました。地元の幼稚園と小学校の校長先生が、芸能事務所のオーディションに娘達を推薦してくださったことがきっかけでこの道に入ることになったわけですが、航空業界一筋で来た私には皆目見当もつかない世界で、当初はイロハも分からず、オーディションのセルフテープ(オーディションビデオ)は、家の中を収録用にセットして、いざアクション!でも照明やカメラアングルや音声に気を取られて、サイドライン読みで私がNGを出して足を引っ張るどころか、対面で何ラウンドも勝ち進んでいくスタイルのオーディションは、本人達よりこちらの方がテンパって、合格の名前を呼ばれた時には娘達と一緒に喜んだり、はたまたそうでない時は落ち込んだり。乗務とはあまりにも違う経験ばかりですが、必死で子供達の世界に飛び込んで、とても貴重な経験をさせてもらっています。

次女Control役。Andrew Lloyd Webber - Starlight Express


長女は、舞台や映画を経て、現在BBCの連続ドラマ『The Dumping Ground』に出演中で、次のシリーズの撮影が夏にあり、次女も秋までMatildaの舞台が続きます。姉妹それぞれ自分の場所で挑戦を続けられることをありがたく思います。

長女Hortensia役 Matilda the Musical West End


その一方で、家族のホリデーは、舞台や稽古がないタイミングを見つけて、日帰りか、長くても一泊二日で郊外へ行く程度。契約中はスタンバイ要員もあるので、ロケーションに1時間以内で通勤できる場所にいなければならない、という条件があるため、遠出はなかなか叶いません。

そして、日本の実家への帰省も、気がつけば9年出来ておらず、両親はすっかり、iPhoneの画面の中の人たちになってしまいました。ばあばとじいじに、子どもたちも直接会えないまま成長しています。

普通ではなかなかできない経験、出会えない人たち、見られない景色。子どもたちは舞台やカメラの前で多くのことを学び、成長してきましたが、その裏側には確かに代償もあります。
過ぎてしまった時間。そして、取り戻すことのできない、家族との思い出づくりの時間です。

The King & I UK and International Tour - Royal child役 長女ミュージカル初仕事


ロンドンで客室責任者として飛び続けること。
イギリスでキャリアを築くということ。

私自身が選び、決断してきた道ですが、その決断は、いつも家族を巻き込み、娘達の人生形成にも大きく関わっています。それでも子供達は運命に導かれるが如く、'置かれた場所で咲く'というノートルダム清心学園学長の渡辺和子さんが本で仰っているように、ただ目の前の事に没頭し、時にはこちらの想像を上回る結果を出して良い意味で驚きと感動を与えてくれます。

 '王様と私'のツアーで一緒に頑張った仲間と駅構内にて


さあ初公演。俳優、脚本家、演出家など関係者全員にとって、完成度の高さを証明する最も緊張感のある公演です。オープニングは何度立ち会っても、こちらまで演者の鼓動が伝わって来そうなくらい、言葉では言い表せない特別なボルテージの空間です。

幕が上がる瞬間、きっとまた新しい時間が動き出す事でしょう。

ロンドンプレミアキャスト。Frozen the Musical West End(長女オリジナルのオープニングキャスト
Young Princess Annaとして半年後、Young Princess Elsaに転身して一年半ほどお世話になりました。)


ロンドンの木蓮はまもなく満開になりそうですが、桜にはまだ少し早いようです。
ステージドアへ次女を迎えに行くのがルーチン化する頃には、桜も綺麗な見頃になっていると思います。

怪我なく、病気なく、チームの一員として千秋楽まで次女が務められるよう、裏方として体調管理に万全を尽くしたいと思います。

そして、時間が許す限り舞台の客席のどこかで応援したいと思います。